ページビューの合計

2010年11月26日金曜日

雑記 : 「科学」と「技術」の違いについて認識を持とう!

よく科学と技術をくっつけて「科学技術」なんて言い方をする場合がありますが、科学と技術というものは一概に連続しているとは限りません。

大学院生をしていると自分の研究が将来、仕事に役に立つとか、専門能力が活かせるとか思うかもしれませんが、大学院で研究することの大半はScienceであり、Technologyとは懸け離れたものである場合が多い。

製薬系や化学系なんかだと、大学院の研究が仕事と直結するケースもあるようですが、狭き門です。

たとえば私の修了した研究科は「情報科学研究科」というのですが、「情報科学」と「情報工学」は非にて異なるものです。

情報工学というと情報処理などの実用技術を指す場合が多いですが、情報科学の場合、バイオインフォマティクスや人間工学、メカトロ・ロボットなど機電系やバイオに近いようなことをする場合が多いです。

企業の方に注意して頂きたいのは、情報科学研究科のような「科学」とつく研究科が行っているのは基本的にサイエンスであるということです。

「情報=IT」ではありませんよ!

たまに勘違いしている企業人を見るのですが、大学というのは科学や学問をする場であって、実用技術を習得するための場ではありません。

専門技術を習うのは専門学校や高専です。

私たち大学院卒より、高専卒のほうが専門技術にはたげています。

ですが、高専卒が習得している技術は現在の技術であり、将来に必要になるかもしれない先端技術については習得していません。

私たち院卒は将来必要になるかもしれない先端技術を学んでいるという認識が必要です。

「高専で学ぶこと=技術」、「大学院で学ぶこと=科学」とでも解釈しておいたほうがいいかもしれませんね。

自分は科学なんかより、専門技術を身につけたいというならば、大学院より、専門学校に入学したほうが得かもしれません。

しかし、大学院というところは先端科学を学べる唯一の場所です。

生涯のうちに何年間か科学を学ぶというのも悪くない選択だと思いますよ!

2010年11月21日日曜日

雑記 : 学位は国際的に通用します。

国家資格を持っていると就職に有利だとかいい、専門学校などが薦めてきたりしますが、日本の国家資格は国内でしか通用しません。

日本の企業に勤める場合は難関国家資格などを持っていると有利ですが、いったん日本を出てしまうと、全く役に立たない無用の長物です。

専門知識という面では役に立つのだと思うのですが、肩書きとしては、使えません。

反面、学位というのは資格ではないし、一概に専門知識やスキルを評価するものではないので、自分の能力と学位が連関するわけではないのですが、これは一応、国際的に通じます。

博士ならばどこの国に行ってもDr~で通用します。

日本もこれから本格的に国際化するようですので、国際的に通じる「肩書き」として、学位に投資してみるのも一つの手かもしれません。

雑記 : 他の大学の大学院を受験する

地方にいるとあまり考えることがないかもしれませんが、関東や関西では大学院から他の大学に進学すケースが多いです。

実は私もそのケースです。

私は地方の私立大学から中堅国立へ進学しました。
悪い言い方をすれば、俗に言う「学歴ロンダリング」という奴です。

私としては「学歴ロンダリング」をしたつもりはないのですが、学部の大学ではこれ以上、成長できないと思い、また、もっと優秀な先生や学生が集まる大学で学びたいと思い他の大学にしました。

結果として、今では「国立大学卒」ということで通っているので、良かったと思います。
大学院から有名大学に進学する場合でも、結局、対外的に評価されるのは最終学歴なので、よりレベルの高い大学院に進学しておくほうが、将来的には可能性が広がります。

よく自大の院に進学しないと教官が嫌な顔をするとか、卒業研究の指導で差別を受けるとか言いますが、まあ、私の体験として、これは事実です。

私はあえて卒業研究の研究室を選ぶ際に他の院へ進学するのを嫌がらない教官を選びました。
また、専攻したい分野も近かったので、運が良かったのかもしれません。

最近では国立大学でも、研究計画と学力試験がパスできれば、入学できるところも多いので受験することをお勧めします。

大学院の学力試験は純粋に専門能力を試すものなので、きちんと対策すれば、試験に合格するケースが多いです

2010年11月20日土曜日

雑記 : 博士後期課程に進学しようかどうか悩んだとき

博士後期課程に進学しようか悩んでいるという人が多いみたいですね。
私の恩師曰く、「博士課程はハイリスク・ハイリターン」だそうです。

賭けに勝ってしまえば、好きな研究と理想的な職場が手に入るかもしれませんが、負けると正規雇用すら難しいというのが実情です。

アカデミックポストはコネが大事なので、コネのあるその専門分野の教授の元につくのが、大事だと思います。
それでも、アカデミックポスト(常勤)につけるかどうかは確率15%くらいだと考えておいたほうがいいと思います。

学生をしているとあまり考えないかもしれませんが、大学の教官になるにしろ、企業で働くにしても、その業界のニーズというものがあり、ニーズに応えられる人材が就職に有利です。

たとえば、「二足歩行ロボットを作ってみたい!」とか思っても、二足歩行ロボットなんて作っているところなんて、大学・企業含めてほとんどありません。

ホンダのアシモなどテレビなどで頻繁に出てきますが、そういったものはPRが目的なので、開発事態は少数先鋭で行っていますし、はっきり言って、人材募集しているかどうかも怪しいです。

個人的には、博士課程に進学するにしても、きちんとニーズのある専門分野を見極めてから、大学院や研究室を選ぶほうがいいと思います。
ニーズが無い専門分野にどんなに努力しても就職があるかどうかはわかりませんし、第一、就職できたとしても、専門性を発揮できない可能性が非常に高いです。

実は私自身がそういったケースです。

私はロボットアームの制御が専門なのですが、今では全く違うことをしています。
幸い、安定した会社に勤務しているので、生活は保障されていますが、会社から観れば「使えない博士」と考えられていてもおかしくはないと思います。

ちなみに私は産業用ロボット関係の業務担当として採用されたのですが、世界不況の影響で、担当業務がなくなり、電気設計をしたり、IT関係をしたりと全く専門と違うことをしなければならない状況になりました。

私のケースのように仕事というものは常に流動的なものなので、一時は専門性に近い仕事に就くことができても、その仕事が定年まで続くとは限りません。

専門性にこだわるのはできるだけ控えたほうがいいと思います。
雇用というものは常に変化します。
変化に対応できる人材こそが大事であり、変化に対応できない人材は淘汰されます。

これは博士号を取ろうと取るまいと同じことです。

2010年11月10日水曜日

雑記 : 精神病と大学院

ドクターを修了して、2年ほど経つのですが、たまに恩師のところに世間話をしに行きます。
教授もたまに会うと、学生時代には決して話さなかったような悩み事を話すことがあります。

前回は「留学生に博士号を取らせたが就職がなかった。」、今回は「精神病の学生が多く、対応に困る。」とのことでした。

この記事では後者の方を扱います。

実は私自身、精神障害者です。
実は手帳を持っています。

そんな話を在学中にしてもいたのですが、教授曰く「あんたは普通にできとった!」だそうです。
結構、ギリギリまでがんばってドクターを取ったのですが、と思ったりしました。

そのときに聞いたのが、私と同期でドクターを取った人も精神病(欝)で10年以上患っているとのことでした。
その人の博士論文はとてもひどい内容だったし、私の半分も研究していないような人だったので、なんでこんな人にドクターを出すんだろうと疑問に思っていたのですが、そういったわけだったんですね!
でも、私にはあまり配慮がなかったような気がするけど。。。
まあ、人によりけりですかね?

ちなみにその人は文字通りミニマム卒業でした。
ドクターなのに英語の論文0本。
という、快挙をやってのけました。
ちなみに私は5本。

まあ、その人は派遣会社に就職しましたが、私は普通に正社員なので、がんばった分の多少は報われているような気がします。

さて、教授が悩んでいたのは、そんな卒業した人のことではなく、現役生です。
なかなか優秀な後輩だったのですが、D2の5月位から3ヶ月くらい行方不明になり、果ては研究放棄して、先生に投稿論文を代筆させたという人です。
能力的には優秀なのですが、ちょっと変ですよね?
その人は「新型欝」の疑いがあるそうです。
研究は放棄、だけど、遊びはOKだそうです。
そんな彼も今年でD3、ちゃんと博士論文を書いているんだろうか?
心配です。

ドクターに行くと意外とストレスが多いので欝とかになる人が多いので、皆さんもメンタルヘルスには気をつけましょう。
最近は心療内科も敷居が低くなってきました。
少しでも気になったら、一度、受診してみることをお勧めします。

雑記 : モラトリアムとしての大学院

モラトリアムという言葉をご存知ですか?
社会学の講義で学んだのですが、「いつまでも子供でいたい」という願望だそうです。
モラトリアムで大学に残る人って結構いますよね?
どこの研究室にもたぶんいるだろう「この人なんでドクターなんかやっているんだろう?」的な人のことです。
一概にそういった人がモラトリアムとは言い切れないのですが、中には持病があり、就職が難しいため、ドクターに進むような人も少なくないようです。

でも、ドクターに進学する人は多かれ少なかれモラトリアムを抱えているのではないかと思います。
「純粋に学問を追及したい!」という人も多いかと思いますが、「学問」というものは「飯の種」にはほとんどなりません。
皆さんも分かっていると思いますが、学問の目的の一つは知識や教養を広げることであって、職業教育ではありません。
大学の教官に慣れる人はいいのですが、民間企業に就職する場合は圧倒的にマスターの方が有利です。

ただし、学問を習得することで、その後の人生が豊かになることはあると思います。
純粋に研究に打ち込んだ経験というのは掛買いの無いものです。
そういった思い出とともに社会の荒波に立ち向かうというならばぜんぜんOKです。

ドクターに進学する前に考えてみましょう。
本当にドクターに行かなければ行けないのか?
ドクターを出た後、何をして生活をするのか?
自分の研究に社会から見た価値はあるのか?

などなどです。

よーく、考えましょう!
社会は学生さんが考えている以上にシビアです。
また、ドクターを取ることはマスターの人からは考えられないくらい難しいことです。

ドクターに進学するということは、あと3年間、苦行に耐え、さらにその後の人生に役に立つかどうかも分からないということです。

自分のモチベーションがモラトリアムではないことをじっくりと考えてみましょう。

ちなみに私がドクターに進学したのは、持病があり、しばらくは働くことができなかったからです

2010年11月2日火曜日

「博士」について考えてみよう! パート1

「博士号」を取得することについて考えてみましょう!

昔から「博士号とは足の裏の米粒」とか言われますが、その通りでしょう。
一度でも学業を志したものならば、「博士号」を取得することは考えたことがあるのかと思います
ですが、最近の「修士贔屓」を見ていると、なかなか博士課程に進学する気になる方は少ないかと思います
あと、経済的な事情もありますよね。
奨学金を借りるという手もありますが、学部から博士課程まで奨学金を借りると850万円以上になります
ちなみに私は修士課程から奨学金を借りましたが合計で640万円で月々3万円づつ返済しています
学部から借りた人はたぶん月4万円以上返済することになるでしょう

奨学金というと聞こえはいいですが、ただの借金です
返済しない人が多いと話題になりましたが、最近では学生支援機構が裁判を起こしたりしているので、借逃げはやめておいたほうがいいでしょう
というか、「借りたものは返す。」のは社会のルールです。
事情があり、返済できないのならば、手続きをすればいいし、それでもダメな場合はご家族と相談しましょう。
それくらいのこともできないならば「学位」を取っても何も成長しなかったということでしょう

家がとても裕福で自分が働かなくともいい人やいざとなれば家業を継げばいいような人は奨学金を借りずに博士課程まで進学している人とかもいるくらいです。

お金が無ければ、大学院で学べないのかというとそういうわけではありませんし、そのための奨学金制度なのですが、借金であることには変わりないので、消費者金融ではありませんが、「ご利用は計画的に!」したほうがいいです

以上が博士号を取るにあたっての注意事項です

大学院に通って博士号を取るのは良いことなのですが、その後の人生をどう過ごすか計画的に考えましょう